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5G導入のためにインターネット税を導入?デマの拡散に注意

5G導入のためにインターネット税を導入?デマの拡散に注意

インターネット税が1人1,000円なんて具体的な数字まで上げていますが、ツイートの中にリンクが貼られている産経新聞の記事を読むと1,000円なんて数字はどこにも出てきません。

どうやらこの人が勝手に数字を付け足したみたい。

また、産経の記事の中では

総務省が第5世代(5G)移動通信システムの基盤である光ファイバー回線を全国的に維持する負担金制度をつくる検討をしている

とあります。

ここがそもそも誤解の原因。

◯: 光ファイバー回線を全国的に維持する負担金制度をつくる検討
◯: 第5世代(5G)移動通信システムの基盤である光ファイバー回線

×: 5Gのために負担金制度を検討

「インターネット税」のようなものを導入しようとしているのはほぼ事実。
5Gが光ファイバー回線を利用するのも事実。

しかし、5Gの為に「インターネット税」を導入しようとしているという情報はダウトです。

もう少し詳しく言うと、「電話税のようなもの」を「インターネット税のようなもの」に変更しようとしているだけです。

ユニバーサルサービス制度の見直し

総務省
情報通信審議会 総会(第42回)配付資料・議事概要・議事録
資料42-1-1 「電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証」最終答申(案) 概要
総務省|情報通信審議会|情報通信審議会 総会(第42回)配付資料・議事概要・議事録

総務省の「情報通信審議会」での資料が話の大元となり、「インターネット税」と曲解されてニュースになり拡散されているようです。

「情報通信審議会」の資料には以下のような記載があります。

ユニバーサルサービス制度の見直し
将来的にブロードバンドをユニバーサルサービスの対象とすることを見据えた検討

「5G」と「ユニバーサルサービス制度」の話は直接の関係はありません。
ブロードバンドというのは、端的にいうと光ファイバー光回線のことです。

ユニバーサルサービス制度とは?

ユニバーサルサービス制度とは、インフラの維持費を電話を使う人全員から広く徴収しようという制度です。

たとえば人口が100人の村があって、そこの村まで電話線を敷設するのに数億円の費用が必要だとします。
採算を考えると各村人から数百万円程度の料金を徴収する必要が出てきます。

しかし、それは現実的ではないので、
「全国の利用者で均等に費用を負担して過疎地を含む全国に満遍なく電話回線を普及させましょう」
というのがユニバーサルサービス制度です。

電話代の料金明細を見ると毎月2~3円程度の「ユニバーサルサービス料」というのが徴収されているはずです。

現在は固定電話の加入件数は右肩下がり、ユニバーサルサービス料の徴収が難しくなってきました。
そこで、電話回線に対してではなく、インターネット回線に対して徴収した方がいいんじゃないのかという話が上がってきたところです。

これが「インターネット税」の話の出どころです。
5Gの話は特に関係ありません。

スマホは電話もネットも使えるので、ユニバーサルサービス料の対象が電話からインターネットに切り替わっても毎月2~3円程度の「ユニバーサルサービス料」が徴収されることは変わらないと思います。

自宅に固定電話兼光ファイバーのインターネットを引いている人もたぶん何も変わらないです。

自宅に固定電話はないけど、光回線のケーブルテレビやインターネットを引いている人は月額料金が2~3円増えるかもしれないです。

ユニバーサルサービス料」の徴収対象が「電話」から「インターネット」に変更ではなく、「電話とインターネットの両方」から徴収という形になった場合は、たぶん「ユニバーサルサービス料」が現状の2~3円から3~4円に値上がりするのかな?

全国あまねく提供?

「国民生活に不可欠なサービスである固定加入電話等を対象に、あまねく全国における提供を確保」
「NTT東西は電話の提供にあたり全ての設備を自ら設置することが義務づけられている」

大まかにいうと、NTTは日本全国どこでも全国民が電話を使えるようにする義務を負わされています。

しかし、
「インターネット回線とインターネット電話があれば、電話回線はなくてもいいんじゃない?」
ソフトバンクau基地局があれば、ドコモの基地局はなくてもいいんじゃない?」
みたいな話も。

そうなると、「全員に電話回線を提供する」という足かせの対価として得ていた「全員からユニバーサル利用料を徴収する」という大義名分を失うことに。

  • 電話回線を全国で維持?
  • インターネット回線を全国で維持?
  • 電話回線とインターネット回線の両方を全国で維持?
  • 電話回線かインターネット回線どっちかが全国にあればOK?
  • どっちもない地域があってもいいんじゃない?

だいたい、この5択のどれにするか検討中って感じですかね。

そして、維持するための「ユニバーサルサービス料」を

  • 電話回線ベースで課金
  • インターネット回線ベースで課金
  • 電話線とインターネット回線の両方で課金

この3択のどれにするかって話を検討しているところですね。

まとめ

「インターネット税」という言葉が独り歩きしていますが、たぶん一般人にはほとんど誤差の範囲。
新制度が始まっても、見送られても、普通の人はたぶん気づかないくらいの影響だと思います。

増税反対と叫んでいる人がいますが、ユニバーサルサービス料がなくなると、設備維持費を全国で均等化せずに、現地の人だけで負担することになります。
つまり、人口100万人以上の大都市に住んでいる人は毎月2~3円だけ料金が安くなって、人口100万人未満の都市に住む人はそれ相応に値上げみたいな状況になります。
(分岐点が何万人都市になるかは分かりませんが)

もしくは、ユニバーサルサービス料がなくなると、過疎部ではインターネットが使えなくなります。
というか、いまも離島などでは光回線が来てないエリアはたくさんあります。

「日本国民全員にサービスを届ける必要があるか?」
「その負担金をどうするか?」
という話ですね。

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