にゃん分間待ってやる

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JR福知山線脱線事故(2005年4月25日)

JR福知山線脱線事故とは

JR福知山線脱線事故とは、2005年4月25日午前9時18分、兵庫県尼崎市(あまがさきし)のJR福知山線(ふくちやません)で発生した列車の脱線事故です。

スピードを出し過ぎた快速列車は塚口駅(つかぐちえき)と尼崎駅(あまがさきえき)の中間地点あたりで右カーブを曲がりきれずに脱線しました。
前方の5車両がフェンスを突き破り前方のマンションへ激突する大事故でした。

死者107名(運転士1名、乗客106名)、重軽傷者562名を出す大惨事でした。

事故車輌の運転士

脱線事故を起こした列車を運転していたのは23歳の新米運転士でした。
運転士になってから11か月目。

事故当日は、以下のような乗務スケジュールとなっていました。

  • 午前6時48分に放出駅(はなてんえき)を出発、松井山手(まついやまて)行き回送
  • 松井山手発、快速尼崎行き
  • 尼崎発、宝塚行き回送
  • 宝塚発、快速同志社前行き
    (午前9時18分、塚口駅-尼崎駅間で事故発生)

この運転士は、事故当日に度重なる運転ミスを犯していました。
自分のミスについて車掌が指令室に報告をするのではないかと恐れた運転士は、車掌と指令室との無線を盗み聞きします。
そして、無線に気を取られた運転士は、伊丹駅で72mのオーバーランを発生させてしまいます。

ミスにミスを重ねた運転士は、同列車に乗車していた車掌に詰め寄り、オーバーランの数字を過少申告するようにお願いします。
しかし、会話の途中で乗客から話しかけられたため、この件は途中で打ち切られてしまいます。

そして、列車は再出発、事故は起こりました。

事故当時、運転士が右手の手袋を外していたこと、運転席に赤鉛筆が落ちていたことから、車掌と指令室の無線内容をメモしていたのではないかと言われています。

つまり、直前に起こしてしまったオーバーランについて、車掌がどのように報告を行うかに気を取られ、運転がおろそかになっていました。
そして、速度を出し過ぎていることに運転士は気づいていませんでした。
速度超過のままカーブが近づいていることに気付かず、ブレーキ操作が遅れます。
制限速度70km/hのカーブに、通常ではありえない116km/hという速度でカーブへ突入し、列車は大きく脱線してしまいます。

事故発生後、「対向列車の運転士」と「輸送指令員C」との交信記録(列車無線)

(輸送指令員C)
こちら輸送指令です。
呼ばれた乗務員、列車番号からどうぞ。

(対向運転士)
えーと、こちら、3013M、3013Mの運転士です。
塚口駅手前の第一新、えー、横枕、えー、踏切、人身事故、えー、列車事故発生です。
えー、列車が横を向いて、えー、線路上下線とも支障いたしております。
ただいまから防護無線を発報してますどうぞ。

(輸送指令員C)
5418M列車は何かと当たってるんですか。どうぞ。

(対向運転士)
えー、現状が分りづらいですが、車両が横転、上下線とも、えー、上下線ともふさいでいます。

(輸送指令員C)
車両横転して上下線ふさいでいる。
防護無線発報して下さい。防護無線発報して下さい。防護無線発報して下さい。防護無線発報して下さい。3013M、防護無線発報して下さい。
3013M運転士どうぞ。

(対向運転士)
3013M防護無線発報いたしております。

(輸送指令員C)
はい。3013M運転士、防護無線発報内容了解です。
えー、それでは3013M、えー、分る範囲で結構です。
詳しい内容を教えて下さい。どうぞ。

(対向運転士)
えー、列車が、えー、かなり大破しております。
何両目か判りづらいですが、第1閉そく、下りの第1閉そく信号機あたり、列車が横転しております。
横転、横を向いております。
横転はしておりません。横を向いて、上下線とも支障しております。

(輸送指令員C)
えー、第1閉そくあたりで、えー、横を向いて、倒れているということ、えー、踏切内、踏切で何かと当たったということでしょうか。どうぞ。

(対向運転士)
えー、聞こえづらいです。・・・。

(輸送指令員C)
踏切内で何かと衝突して脱線しているのでしょうか。どうぞ。

(対向運転士)
えー、今のところ、えー、何かとぶつかっているような感じがないのですが、横を向いて曲がっているので、何かと衝突したのだと思われます。どうぞ。

(輸送指令員C)
横を向いて曲がっているので、何かと衝突したと思われるということ、内容了解です。
えー、それでは、3013M運転士そのままそこで待機。そのまま待機して下さい。どうぞ。

(対向運転士)
3013M運転士、そのまま待機了解しました。

(輸送指令員C)
はい、そちら・・・。
3013M運転士で、再度、えー、横転している場所、もう一度、第1閉そく付近というのは内容理解できました。
えー、詳しく教えて下さい。どうぞ。

(対向運転士)
え、内容が聞き取りづらいです。もう1度お願い致します。どうぞ。

(輸送指令員C)
えー、3013M運転士、えー、それでは携帯電話、異常時の携帯電話にて指令まで。

(対向運転士)
-応答なし-

(輸送指令員C)
えー、異常時の携帯電話にて連絡下さい。どうぞ。

(対向運転士)
すいません、あのー、雑音がうるさくて聞き取りづらいです。どうぞ。

(輸送指令員C)
えーそれ、異常時の携帯電話にて連絡下さい。異常時の携帯電話にて連絡下さい。どうぞ。

(対向運転士)
-応答なし-

(輸送指令員C)
3013M運転士、異常時の携帯電話にて連絡下さい。どうぞ。

(対向運転士)
申し訳ありません。あの、何をどうしたらいんでしょう。
聞き取りづらいです。雑音がひどくて聞こえづらいです。どうぞ。

(輸送指令員C)
えー、3013M、とりあえず、車掌どうぞ。

(対向車掌)
-応答なし-

(輸送指令員C)
3013M運転士どうぞ。

(対向運転士)
3013M運転士です。どうぞ。

(輸送指令員C)
異常時の携帯電話にて無線、指令まで連絡下さい。どうぞ。

(対向運転士)
えー、車掌を呼び出すという内容でよろしいしょうか。

(輸送指令員C)
違います。異常時の携帯電話にて指令まで連絡下さい。どうぞ。

(対向運転士)
-応答なし-

(輸送指令員C)
異常時の携帯電話にて連絡下さい。どうぞ。

(対向運転士)
-応答なし-

事故発生後、「事故車両の車掌・後続列車の運転士」と「輸送指令員B」との通話記録(業務用携帯電話)

(輸送指令員B)
はい。JR西日本の指令です。どうぞ。

(本件車掌)
すいません。こちら5418Mの車掌です。

(輸送指令員B)
5418M車掌どうぞ。

(本件車掌)
えー、塚口から尼崎間走行中ですけど。

(輸送指令員B)
塚口、尼崎間はい。

(本件車掌)
はい。えーっと無線通じないもんで。

(輸送指令員B)
運転士の無線が通じない。はい。

(本件車掌)
私も、何も入りませんので、電話かけました。

(輸送指令員B)
はい。どうぞ、内容どうぞ。

(本件車掌)
えーっ、と伊丹を行き過ぎて指令に連絡したんです。
その後、運転士さんがいう、いう合図で運転士さんが急ブレーキ取りまして。

(輸送指令員B)
うん、ちょっと意味が分かんないやけど。
伊丹の所定位置を行き過ぎて止まったということ。

(本件車掌)
ちょっと前行き過ぎて、そのまま発車したんです。

(輸送指令員B)
えー、車掌さん落ち着いてゆっくりしゃべってよ。

(本件車掌)
はい。伊丹駅を後部限界過ぎまして、で、所定位置戻しまして、発車した後に連絡したんです。指令の方に。
それで話をして、あと「運転士さん」とゆうて、あの、指令が運転士さんの方に連絡したんです。
そのあと、急ブレーキが掛かりまして停車中です。

(輸送指令員B)
今、まっとるということ。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
何で、止まっとるの。

(本件車掌)
ちょっと分かりません。

(輸送指令員B)
運転士に、無線通じなければ、運転士に、えー、運転士に非常時用の携帯でかけてくれと「ブーブッブブ」て鳴らして。

(本件車掌)
あ、すいません。今、あの、脱線しております。

(輸送指令員B)
脱線しとる。

(本件車掌)
脱線しとります。

(輸送指令員B)
えー、えー何。

(本件車掌)
脱線です。

(輸送指令員B)
何しとる。もう一回ゆっくりゆうて。

(本件車掌)
脱線しております。

(輸送指令員B)
脱線?

(本件車掌)
脱線です。脱線事故です。

(輸送指令員B)
えーっと。列車が脱線してるということ。

(本件車掌)
そうです。

(輸送指令員B)
あー、それは何、車と当たっておる、とかそういうこと。

(本件車掌)
そうじゃないですけど、前、前が、ちょっとよく見えないですけどね。

(輸送指令員B)
うん。前はよく見えないけど。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
脱線しているかもわからんということ。

(本件車掌)
脱線してます。線路から完全にはみ出しております。

(輸送指令員B)
ちょっと、車掌さんこのまま待ってよ。

(輸送指令員B)
運転士さん。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
車掌さん。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
まずね、今、止まっとる位置は、止まっている位置は。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
運、車掌さんの真横を見て電化柱の番号か何か分かりますか。

(本件車掌)
えー、番号は分からないんすけど、○○自動車工業ちゅうとこの手前です。

(輸送指令員B)
○○自動車工業の手前。

(本件車掌)
手前ゆうか、その横に止まっております。

(輸送指令員B)
ほならね。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
えーっと、どういうことかよくわからんのやけども、電話このままの状態でね。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
えー、まずは状況を教えてくださいな。ほんで。

(本件車掌)
状況ですか。

(輸送指令員B)
うん。

(本件車掌)
無線が完全に通じないもんでね、呼び出そうとしても。
それで、急ブレーキ掛かったもんで、お客さんがみはりまして、「どうされたんですか。」と言ったら、「前、脱線してる。」ということで、お客さんが。

(輸送指令員B)
そしたら車掌さんね、一遍進行左側、列車から降りて、一遍、その前に走ってください。

(本件車掌)
あ、分かりました。

(輸送指令員B)
電話はこのまま繋ぎますから。

(本件車掌)
分かりました。

(輸送指令員B)
うん。

(本件車掌)
このまま、ほんなら、行ってみます。

(輸送指令員B)
ほんで、車掌さん。

(本件車掌)
今から行きますんで。

(輸送指令員B)
早く行って。車掌さん。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
今どこにおる。

(本件車掌)
今、あの、あの、線路に降りております。

(輸送指令員B)
それで。

(本件車掌)
見に行ってます。

(輸送指令員B)
うん。

(本件車掌)
ちょっと、見に行きますんで。

(輸送指令員B)
うん。

(本件車掌)
降りて、道路際の方行ってます。道路際まで行っております。

(輸送指令員B)
車掌さん。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
車掌さん、今どこまで来た、車掌さん。

(本件車掌)
負傷者がたくさんですんで、恐れ入ります。

(輸送指令員B)
負傷者がたくさんおるということやな。それは、それは列車に乗っているお客様ゆうこと?

(本件車掌)
そうです。

(輸送指令員B)
うん。そんでね、車掌さん。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
前に、前、前まで行ってもらっとるか。もう。

(本件車掌)
ま、前ですか。

(輸送指令員B)
列車の運転席まで行ってもらった。前の運転士のとこまで。

(本件車掌)
運転士さん、ちょっと、あのー。

(輸送指令員B)
ほならね、今、車掌さんどこにおるの。

(本件車掌)
えーっと、一番前の方でなんですけど。

(輸送指令員B)
ほんなら、その列車は、その列車はなんで脱線しとるのか。
自動車とぶつかっとるとかそういうことで、そういうことなんですか。

(本件車掌)
自動車じゃないと思います。

(輸送指令員B)
自動車ではないけども。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
ほんならね、それ7両編成やわな。

(本件車掌)
はい、そうです。

(輸送指令員B)
7両編成で前の方はどういう状況になってますか。

(本件車掌)
前の方は、もう、完全にグチャグチャになってます。

(輸送指令員B)
グチャグチャになっとるて、何がグチャグチャになっとるの。

(本件車掌)
えー、へこんだ状態になってます。運転士さん、運転士さんの方が。

(輸送指令員B)
運転士の、一番先頭車がグシャグシャって、意味が分からんのやけど。

(本件車掌)
あの、事故におうた車の状態、考えていただいたら分かると思います。

(輸送指令員B)
だからそれは、自動車と衝撃してるとかそういうことなんですか。

(本件車掌)
自動車とは衝突しておりません。

(輸送指令員B)
自動車と衝突してないのに何で、自動車と衝突していないのに脱線しとるということ
ですか。

(本件車掌)
そうです。スピードか、出し過ぎか、あれなんかちょっと分からんですけど。

(輸送指令員B)
ほんで、運転士は今どこにいますか。

(本件車掌)
運転士さんですか。

(輸送指令員B)
うん。

(輸送指令員B)
車掌、5418M車掌、当該の車掌。

(本件車掌)
はい。救急車の手配よろしくお願い致します。あのー。

(輸送指令員B)
もし。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
車掌さん。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
運転士は、ほな、近くにいますの?

(本件車掌)
いや、おら、いないです。

(輸送指令員B)
運転士がいない。うん。

(本件車掌)
へっこんだ状態になってます。

(輸送指令員B)
そんで、先頭車の状況をゆっくりゆうてよ。

(本件車掌)
先頭車は、えーっと、脱線した状態で、横になっております。あの。

(輸送指令員B)
大阪に向いて、右側にゆがんでるの。それとも、左側にゆがんでるの。

(本件車掌)
左側です。

(輸送指令員B)
左側に向かって、傾いているんだね。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
ほならね、そこに行くまでに、ほんまにね、あのー踏切ありましたか。

(本件車掌)
踏切と、ありますけど、なんもありません。

(輸送指令員B)
なんでそれが、先頭車両が、運転席が潰れている状況なのですか。

(本件車掌)
そうです。

(輸送指令員B)
運転席が潰れている。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
進行方向左側に先頭車両だけが傾いていますか。

(本件車掌)
傾いてー。

(輸送指令員B)
傾いてるのは何両目と何両目が傾いてますか。

(本件車掌)
1両目、2両目、3両目です。

(輸送指令員B)
1両目、2両目、3両目とも傾いている。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
ほならね、とこ下、床下を見てもらってね。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
台車、車輪はレールからはずれて脱線していますか。

(輸送指令員B)
車掌さん。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
車掌さん。

(本件車掌)
はい。はい。

(輸送指令員B)
現地に、ほな、警察や消防が来とるゆうことですか。もう。

(本件車掌)
来ております。

(輸送指令員B)
車掌さん、今誰としゃべっとんのよ。

(本件車掌)
警察の人です。

(輸送指令員B)
警察の人来とるんやね。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
うん。

(本件車掌)
あの。

(輸送指令員B)
とりあえず、私の言うことをね、もう一回整理しますよ。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
車と当たったようなことはないと思うんやけども。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
先頭車両の運転台の方が潰れていると。

(本件車掌)
そうです。

(輸送指令員B)
それで、前から1両目、2両目、3両目が進行方向左側に傾いている。

(本件車掌)
傾いて、あの、副本線の方に、あの、2両目と3両目、2両目がこっちに傾いている。
副本線というか、下りの方に。こちらの方に。

(輸送指令員B)
1両目は左側、2両目は何処に傾いておるって?

(本件車掌)
左側です。

(輸送指令員B)
1両目も2両目も左側に傾いているね。間違いないね。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
3両目は。

(本件車掌)
3両目は、3両目、3両目はちょっと分からないです。

(輸送指令員B)
分からなかったら分からないでいいですわ。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
ほならね、とこ下、床下の台車を見てもらったら、車輪とレールははずれますか。
脱線していますか?脱線はしとんの?車掌さん。

(本件車掌)
はい。はい。

(輸送指令員B)
いいですか、床下の台車を見てもらって。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
えー、車輪は脱線していますか。まず1両目は?

(本件車掌)
1両目は、脱線しております。

(輸送指令員B)
4軸とも脱線か。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
4軸ともね。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
2両目は。

(本件車掌)
2両目は、3両目と2両目の間に入っております。

(輸送指令員B)
えー。

(本件車掌)
3両目と2両目の間に入っているような状態です。

(輸送指令員B)
何だって、良く分からんな。2両目は脱線しているんですか。

(本件車掌)
2両目、はい。

(輸送指令員B)
2両目と3両目が何だってゆうた。今?

(本件車掌)
えー、食い込んでいるような状態なっとる。

(輸送指令員B)
食い込んでいる。

(本件車掌)
はい。

(輸送指令員B)
2両目と3両目が食い込んでるんですね。

(本件車掌)
はい。はい、そうです。

(輸送指令員B)
分かりました。ほならね、今、JRの社員は車掌さんと誰が居ますか。

(本件車掌)
えー、運転士さんです。ちょっとお待ち下さい。

(輸送指令員B)
運転士にこの電話変わってください。

(本件車掌)
はい。

(後続運転士)
もしもし。

(輸送指令員B)
運転士さん。

(後続運転士)
後続ですよ。

(輸送指令員B)
えー。

(後続運転士)
後続列車の運転士ですよ。

(輸送指令員B)
後続の運転士さんな。

(後続運転士)
はい。

(輸送指令員B)
当該列車の運転士はおらんか。

(後続運転士)
ぼくも探してるんですけど。

(輸送指令員B)
いないの。

(後続運転士)
居ないんですよ。で、ちょっと良く分からないんですけど、もう、電車がグシャグシャ
で、もう、3両分くらいグシャグシャの車両あるんで、何処が先頭車両か、ちと分か
らないんですよ。

(輸送指令員B)
あーそ、そんなにひどいの。

(後続運転士)
もうグシャグシャです。上下線、上下線に渡って、もう車両がもう横に倒れて。

(輸送指令員B)
完全に横転している。倒れてるの。

(後続運転士)
横転というよりも。

(輸送指令員B)
傾いているの。

(後続運転士)
いいえ、そういう次元ではなくて。

(輸送指令員B)
うん。

(後続運転士)
前、一番、えー数えたら3両目くらいは、4両、3両、4両分くらいは、グシャグシャに
なって、なんて言うか、原形を留めずにプレスされて、こう。

(輸送指令員B)
ほならね、後続の運転士さん。

(後続運転士)
はい。

(輸送指令員B)
何が原因だと思われる。

(後続運転士)
僕が最初に思ったのは、車と衝突したように思うんですけど、どうも、その、ぶつか
った相手の車のようなものがないんですよ。回りに何も。

(輸送指令員B)
うん。

(後続運転士)
電車の残骸だけが。

(輸送指令員B)
うん。

(後続運転士)
散らばっていて。

(輸送指令員B)
うん。

(後続運転士)
両脇の線路の、線路のフェンスが、フェンスが、あの、物が突き破って、車道の方
にも電車が飛び出ているんですよ。

(輸送指令員B)
よっしゃ、このまま電話を切らんと、このまま待ってよ。

(後続運転士)
はい。

先頭車両はマンションのピロティ部分に突入、2両目はマンション外壁に激突してひしゃげたうえに3両目に追突されて圧搾機で潰したのかというほどに原型をとどめていませんでした。
ピロティというのは、1階が空洞で柱だけがある状態。
このマンションでは1階がピロティで駐車場、2階からが住居となっていました。
事故直後の交信記録では、輸送司令員が「運転手はどこ?脱輪はしてるの?」みたいなことを言っていて自体を全く理解できていないことが分かります。
後続運転士に電話を代わったあたりでも、司令員は事故列車の運転士だと思い込んでいてまだ事態を把握していません。
それが逆にリアルで怖いです。

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