用水路の魔術師・中村医師、アフガニスタンで銃殺される。ISによる犯行か?
日本人医師の中村哲(なかむら てつ)さん(73歳)が乗っていた乗用車がアフガニスタンの東部ナンガルハル州で銃撃され、中村医師を含む同乗者5人が死亡した。
アフガニスタンでは近年、国際機関や海外のNGOを標的とした襲撃事件が増えている。
国連のまとめによると、2019年1~7月だけで支援活動に従事する人たちの死傷者は77人。
アフガニスタンの武装勢力は、外国人を襲撃するときに事前にターゲットの行動パターンを調べ通勤時を狙うことが多い。
襲撃が起こったのは現地時間の2019年12月4日午前8時ごろ。
「犯人は車で待ち伏せをしていた」との情報もあり、中村哲さんを含むNGO「ペシャワール会」のメンバーを標的にしたISによる犯行とみられている。
ペシャワール会とは?
中村哲医師を中心としたNGO。
1983年創設。
パキスタンおよびアフガニスタンで活動している。
NGOとは、Non-Governmental Organizationsの略。
日本語でいうと非政府組織。
当初はハンセン病の治療など医療活動が中心だったが、現在は用水路の建設や農業の指導、食料の配布など活動内容は多岐にわたる。
井戸を掘る医者・中村哲
中村哲「もちろん、診療をやめたわけではありませんが、ある意味、医療だけでは限界があると感じたんです。水がなければ農業が続けられない。日々の糧を得ることができないんですから、生きて行きようがない。それに、きれいな水がなければ、伝染病などが蔓延するのを防ぐことだってできない。だから、我々の現在の仕事は、用水路の建設と医療の2本立てなんです。」
http://www.magazine9.jp/interv/tetsu/tetsu.php
中村哲「ほんとうに、最初は手探り状態。その中で、日本各地の取水方式が、とても参考になりました。日本方式と言っても、江戸時代や戦国時代の技術を、アフガンで再生しているんです。ほとんど機械が使えないような状況の中では、こんな日本古来の人力に頼った技術が、思わぬ効果を発揮するんですね。」
最初は医療活動に従事していた中村医師。
しかし、2000年に起こったアフガニスタンの大干ばつにより方針を転換。
アフガニスタンの人口2500万人の約半数が干ばつの被害にあい、500万人が飢餓状態に陥る。
医療だけでは命を救えないことを目の当たりにし、中村医師は井戸を掘る。
機械が使えない人力に頼らざるを得ない状況から、日本の江戸時代の技術が役に立ったという。
我々を攻撃する連中なんかいませんよ
中村哲「そうです。まず生きることです。あとは、はっきり言って、タリバンが天下を取ろうが反タリバン政権になろうが、それはアフガンの内政問題なんですね。そのスタンスさえ崩さなければ、我々を攻撃する連中なんかいませんよ。それどころか、政府、反政府どちらの勢力も、我々を守ってくれるわけです。」
中村哲「ある意味「美しき誤解」かもしれませんが、そういうふうに、日本の平和的なイメージが非常な好印象を、アフガンの人たちに与えていることは事実です。日本人だけは、別格なんですよ。」
なんとなく「自分は大丈夫」感があったのかなぁという気はします。
「自分が死んだら危険な地域に人は出せないという流れになって支援が止まってしまう。安全には細心の注意を払っている」という旨の発言もされていたそうで、危機感は持っていたようではありますが。
中村哲は9条信者だった?
中村哲「ええ、9条です。昨年、アフガニスタンの外務大臣が日本を訪問しましたね。そのとき、彼が平和憲法に触れた発言をしていました。アフガンの人たちみんなが、平和憲法やとりわけ9条について知っているわけではありません。でも、外相は「日本にはそういう憲法がある。だから、アフガニスタンとしては、日本に軍事活動を期待しているわけではない。日本は民生分野で平和的な活動を通じて、我々のために素晴らしい活動をしてくれると信じている」というようなことを語っていたんですね。」
中村哲「これまでは、海外に軍事力を派遣しない、ということが日本の最大の国際貢献だったはずなのに、とうとうそれを破ってしまったんです。これは、戦争協力ですよね。そんなお金があるんだったら、福祉だの農業復興だの何だの、ほかに使い道はいくらでもあるというのに。」
中村哲「9条は、僕らの活動を支えてくれる リアルで大きな力」
中村哲「そうなんですよ。ほんとうにそうなんです。僕は憲法9条なんて、特に意識したことはなかった。でもね、向こうに行って、9条がバックボーンとして僕らの活動を支えていてくれる、これが我々を守ってきてくれたんだな、という実感がありますよ。体で感じた想いですよ。」
中村哲「武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。それが具体的な形として存在しているのが日本という国の平和憲法、9条ですよ。それを、現地の人たちも分かってくれているんです。だから、政府側も反政府側も、タリバンだって我々には手を出さない。むしろ、守ってくれているんです。9条があるから、海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが、ほんとうの日本の強味なんですよ。」
中村哲「具体的に、リアルに、何よりも物理的に、僕らを守ってくれているものを、なんで手放す必要があるんでしょうか。危険だと言われる地域で活動していると、その9条のありがたさをつくづく感じるんです。日本は、その9条にのっとった行動をしてきた。だから、アフガンでも中東でも、いまでも親近感を持たれている。これを外交の基礎にするべきだと、僕は強く思います。」
中村さんのセリフはすべて「マガジン9」のインタビューからの引用です。
「マガジン9」はその名の通り9条信者が作った9条信者の為の雑誌です。
基本はウェブマガジンで、紙の本も出版しています。
そのため、「マガジン9」のインタビュアーが特定の方向へ話を誘導しているフシが感じられます。
中村医師は反自民党だった?
中村哲「それでも、いまでもほかの国に比べたら、日本への感情はとても親しいものです。この感情を大事にしなければならないと思うんです。湾岸戦争のときに、「日本は血も汗も流さずお金だけばら撒いて、しかも国際社会から何の感謝もされなかった。それが、トラウマになっている」なんて、自民党の議員さんたちはよく言うようですけど、なんでそんなことがトラウマになるんですか。「お金の使い方が間違っていた」と言うのならいいのですが、「もっと血と汗を流せ」という方向へ行って、とうとうイラクへは自衛隊まで派遣してしまった。僕は、これはとても大きな転回点だったと思っています。」
「タリバンが天下を取ろうが反タリバン政権になろうが、それはアフガンの内政問題」
「政府、反政府どちらの勢力も、我々を守ってくれる」
これらの発言から、NGO(非政府組織)の活動に長年従事してきた中村医師は、特定の勢力に肩入れしない・政治には関与しないことで信用を得てきた人間だといえます。
特定の政党を名指しで批判したり、政治色バリバリの9条推しの発言をすることには違和感があります。
重ねて言いますが、中村医師の発言のソースは「マガジン9」であることにご留意ください。
マガジン9とは?
マガジン9とは、日本国憲法第9条にちなんで作られたウェブマガジン。
2005年に「マガジン9条」として発足、2010年に「マガジン9」に改名。
ウェブマガジンだけではなく、書籍も出版している。
発起人は以下の人たち
- 石坂啓(漫画家)
- 上原公子(前国立市長)
- 小山内美江子(脚本家)
- 姜尚中(東京大学教授)
- きむらゆういち(絵本作家)
- 小室等(ミュージシャン)
- 斎藤駿(カタログハウス相談役)
- 佐高信(評論家)
- 椎名誠(作家)
- 毛利子来(小児科医)
- 森永卓郎(経済アナリスト)
- 吉岡忍(ノンフィクション作家)
- 渡辺一枝(作家)
「マガジン9条」から「マガジン9」に改名後は、立憲主義(憲法99条)や死刑制度(刑法第9条)についても取り上げている。
また最近では、平和・自由・平等・環境・反戦・反原発などを掲げ、「9」の数字に関係なく活動している。
まとめ
「マガジン9」は特定の思想に偏った媒体なので、その中の記事に出てくる中村医師のインタビューも中村氏の発言を一字一句反映したものではないだろうと思います。
「飢えや渇きは薬では治せない」と医療のみならず水や食料の問題にも取り組み、現地の人々に貢献してきた中村医師。
タリバンも自分たちが犯人ではないと声明を出しているようで、実際にアフガニスタンの政府側も反政府側も中村さんの活動は認識して、現地の人々に支持されていたようです。
そうなると、ISなどルール無視の原理主義者グループによる犯行ですかねぇ。
外国人というだけで粛清の対象だからなぁ。
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