高年齢雇用継続給付金が廃止へ
高年齢雇用継続給付金が廃止になります。
- 2025年度に60歳になる人から半減
- 2030年度以降に60歳になる人から廃止
という方向で高年齢者雇用安定法の改正に向けて政府が動きだしました。
高年齢雇用継続給付とは?
高年齢雇用継続給付とは、60歳以上で就業している人で、60歳時点での給与に比べて賃金が下がった場合に給付金がもらえる制度。
対象者は60歳以上65歳未満の人。
高年齢雇用継続給付の主な財源は雇用保険。
高年齢雇用継続給付金をもらうためには、5年以上の雇用保険加入実績が必要になります。
60歳時点での賃金を基準にして、その金額よりも給与が75%未満に低下した場合に、最大で減額分の15%が給付されます。
たとえば、60歳時点で月給40万円だったのが、60歳で定年退職、その後に再雇用となり月給24万円に給与が下がったとします。
減額後の給料は割合でいうと60歳時点の60%。
75%未満なので受給資格があります。
受給額は減った分の16万円に対してではなく、減額後の給料24万円に対して15%をかけた3.6万円が毎月もらえます。
(実際には、2か月に1回ずつ申請書を提出して2か月分をまとめて受け取る)
しかし、高年齢雇用継続給付金を受け取ると年金額を減らされます。
結局いくら得するのか計算するのは非常に面倒なシステムになっています。
ただし、減額後の月額給与が363,359円を超える場合は、75%などの基準とは関係なく高年齢雇用継続給付金はもらえません。
この基準額は毎年8月1日に変更されます。
高年齢雇用継続給付は、高齢者の就労を支援するのが目的で、高年齢者雇用安定法で細かいルールが規定されています。
65歳までの継続雇用が義務化?
2025年から65歳までの継続雇用が企業に義務化されます。
現在は企業に社員を63歳まで継続雇用することが義務付けられています。
2022年以降は64歳までの継続雇用、2025年以降は65歳までの継続雇用が義務付けられます。
2012年に高年齢者雇用安定法で制定され、現在は段階的に基準年齢を引き上げている過渡期です。
継続雇用というのは、定年退職とは厳密には別物。
- 定年退職を65歳にする
- 定年退職を60歳などにしてもいいけど、その後、希望者を再雇用する
この2つのどちらかを企業側は行います。
一般的に後者のルールを採用する会社が多いです。
再雇用の際には一般的に給与が減らされます。
- 制度上、会社からは首にできないので給与を減額して自主的に去ってもらう
- 会社には残って欲しい人材だけど口実があれば給料は減らしたい
- 年金がもらえるんだから給料が減っても大丈夫でしょ
だいたい、こんな感じの理由で再雇用後は給料が減額されます。
継続雇用が義務付けられているだけで、「同条件で雇用」することは義務づけられていません。
したがって、再雇用後に給料を減らすのは合法です。
最近は、「同一労働同一賃金」が叫ばれています。
「正規」と「非正規」で同じ仕事をしているのに給与が違うことは問題として取り上げられますが、労働内容が変わらないのに「年齢」を理由による賃金の減額は問題として取り上げられることは少ない気がします。
まとめ
年金の受給年齢が引き上げられたり、再雇用制度を作ってみたり、給付金のシステムを作ってみたり廃止してみたり、高齢者を取り巻く制度はコロコロ変わっています。
結局、国は高齢者を働かせたいのか、働かせたくないのか、どっちつかずで迷走気味。
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