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エタノール(酒・消毒用アルコール)とメタノール(燃料用アルコール)の違い

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燃料用アルコールを消毒に使ってはいけない

消毒用アルコールの中身はエタノールです。
燃料用アルコールの中身はメタノールです。

燃料用アルコール(メタノール)にも殺菌効果はあります。
殺菌効果はありますが、人体に有害なので決して消毒目的で使ってはいけません。

メタノールは皮膚からも吸収されます。
使い続けると、失明したり、気を失ったり、死んだりします。

消毒用アルコール(エタノール)と燃料用アルコール(メタノール)はまったくの別物です。

食用油(サラダ油、オリーブオイル)は食べてもOKだけど、
燃料油(石油、灯油)は食べたら死ぬ。
それくらい別物です。

アルコールには主に2種類ある(エタノールメタノール

アルコールには主に2種類あります

(プロパノールなどもアルコールですが、ここでは省略)

エタノール

お酒のことをアルコールと呼びますが、あのアルコールはエタノールのことです。

エチルアルコールとも呼ばれます。

主に、サトウキビやトウモロコシ(糖やデンプン)などから作られます。

消毒用アルコールも主成分はこのエタノールです。

メタノール

メタノール燃料用アルコールのことです。
アルコールランプのアルコールとはメタノールのことです。

メチルアルコールとも呼ばれます。

石炭などから作られます。

劇薬です。
飲むと死にます。
致死量は50gくらい。

消毒用アルコール

消毒用アルコールとは、主にエタノールを水で薄めたもののことをいいます。

エタノールの濃度別に以下の3種類に分類されます。

エタノール

サトウキビ・トウモロコシ・ジャガイモなどを発酵・蒸留・精製すると濃度が95%くらいのエタノールができあがります。

残りの5%は主に水です。

この基本状態のエタノールを元に、無水エタノールや消毒用エタノールを作ります。

無水エタノール

無水エタノールはほぼ純粋なエタノールです。
科学的な処理をして、エタノールから水分を取り除きます。

不純物が入っていない純度100%のエタノールであれば、理論上は水で薄めて飲むことができます。
ただし、技術的には純度100%のエタノールを作ることは難しいです。

また、無水エタノールは食用に作られるものではありません。
ベンゼンなどの身体によくない不純物が含まれている可能性があるので、お酒代わりに飲んではいけません。

消毒用エタノール

エタノールを水で薄めると消毒用エタノール(消毒用アルコール)になります。

なぜ水で薄めるのか?

それは、水で薄めた方が殺菌効果が高いからです。

エタノールを水で薄めると殺菌効果が高くなる?

99%エタノールと80%エタノールだと、99%の方が強そうに感じます。
しかし、無水エタノールエタノール濃度99%)に殺菌効果はありません。

無水アルコールは揮発性が高く、すぐに蒸発してなくなってしまいます。
そのため、ほぼ殺菌効果はありません。

エタノールを水で薄めると蒸発しにくくなります。

たとえば、手を消毒する場合を考えてみましょう。
無水エタノール(純度99%)は一瞬で蒸発、ウイルスが死ぬ前に成分がとんでいくので殺菌効果はありません。
薄めたエタノールは、手の表面に成分がとどまる時間が長くなります。
そのため、手についたウイルスをエタノールが殺菌してくれます。

ただし、水で薄めすぎると殺菌効果がなくなります。
一番効果的と言われているのがエタノール濃度70%~80%です。

無水エタノールはドラッグストアなどでも売っています。
無水エタノールと水を3対1の割合で混ぜると、エタノール75%、水25%になります。

エタノールの注意点

火気注意

エタノールは燃えます。
火気注意です。

消毒用アルコールを飲んではいけません

お酒も、消毒用アルコールも、同じエタノールです。

そのため、純粋なエタノールには酒税がかかります。
よって、無水エタノールは割高です。

それに対して、一般的な消毒用エタノールは酒税がかからないので割安です。
市販の消毒用エタノールは、「エタノールと水」以外の異物をわざと混ぜています。
食用ではない成分を添加することで、酒税の対象から外れます。

添加してある異物というのは、たとえば石鹸の成分だったり、肌荒れ防止の保湿剤などです。

「安い=酒税がかかっていない=食用ではない成分を含む」

消毒用アルコールを飲んではいけません。

アルコールと消毒の仕組み

アルコールが菌やウィルスの外膜を破壊します。
人間でいうと、皮膚がさけて内臓が飛び出すようなイメージでしょうか。

当然ながら、外膜が破壊された菌やウィルスは死にます。

エンベロープウイルスとノンエンベロープウイルス

ウィルスの中には、エンベロープウィルスとノンエンベロープウィルスの2種類があります。
エンベロープとはウィルス本体を覆う膜のことです。

ノンエンベロープウイルス

ノンエンベロープウイルスは、元から外膜がありません。
そのため、アルコール消毒があまり効きません。

エンベロープウイルス

エンベロープウイルスは外膜があります。
アルコール消毒が有効です。

新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスはエンベロープタイプです。
よって、アルコール消毒は効果があります。

お酒で消毒するのはOK

市販の消毒用アルコールは、食用ではない成分が入っているので飲んではいけません。

逆に、アルコール度数が高い(エタノール濃度の高い)お酒を消毒に使用するのはOKです。

お酒の場合、味付けや香りづけの成分が入っていたりするので、傷口の消毒には向きません。
市販の消毒用アルコールも、手荒れ防止の保湿剤が入っていたりするので、傷口の消毒に向かないという点では同じですが。

お酒も、消毒用アルコールも、手の消毒に使う分には問題ありません。

厚生労働省から医療機関向けに以下のようなお達しも出ています。

1.手指消毒用エタノールの供給が不足していることから、医療機関等において、
やむを得ない場合に限り、高濃度エタノール製品を手指消毒用エタノールの代替
品として用いることは差し支えないこと。

(中略)

(1)アルコール事業法(平成 12 年法律第6号)に規定する特定アルコールを
取り扱う既存の事業者
(2)アルコール事業法に規定する許可事業者から購入したアルコールを用い
て高濃度アルコール製品を製造する既存の事業者
(3)酒税法(昭和 28 年法律第6号)に規定する酒類製造者又は酒類販売業者
のいずれかから購入し、当該製品が以下の(ア)及び(イ)の要件を満たすこ
とを当該事業者に確認すること。
(ア)エタノール濃度が原則 70~83vol%の範囲内であること(消毒効果が十分
に得られるよう、より高濃度のものは精製水等で同範囲に薄めて使用する
こと。)。
(イ)含有成分に、メタノールが含まれないものであること。

高濃度エタノール製品(お酒)を医療機関で使うことを認めるという通達です。

エタノール濃度が原則 70~83vol%」が消毒効果が高いとも書いてありますね。

消毒に使えるエタノール濃度が70~83%のお酒一覧

アルコール77

菊水酒造
アルコール度数77%

パストリーゼ77

Doverドーバー
アルコール度数77%

砺波野スピリット77

若鶴酒造株式会社
アルコール度数77%

笹一アルコール77

笹一酒造株式会社
アルコール度数77%

長野屋アルコール77%

長野屋
アルコール度数77%

厚生労働省から、高濃度アルコール製品を推奨する発表があったので、上記以外にも続々発売されると思います。

まとめ

アルコールには、エタノールメタノールの2種類があります。

お酒も消毒用アルコールも、同じエタノールです。
ただし、消毒用の方には酒税回避のために不純物を混ぜています。
消毒用アルコールを飲んではいけません。

アルコール(エタノール)に消毒効果があるのは濃度が60%~90%程度のときです。
アルコール含有量が40%や50%だと、効果ゼロではありませんが効き目が薄くなります。

特に70%~80%のときが殺菌効果が高いと言われています。
市販の消毒用アルコールは、だいたい70%~80%程度のものが多いです。

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